桜の雅、すべては泰然と育まれてゆく

 

樹齢80歳の桜が散ると、あたかもタイミングを見計らっていたようにして

ダーチャ内の桜が開花した。残像の余韻を知り尽くしたVJの匠の技のような

見事なフェードアウト・フェードイン。桜の雅による粋な演出。

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ここからの眺めも麗しく

 

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ここからの眺めもまた美しい。

 

 

ダーチャには、もともとこの庭に植わっていた水仙や赤いチューリップなど

オーソドックスな園芸種と、母にもらったマジェンタピンク色のチューリップ

など現代的な園芸種とが混在している。

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セントウレア・モンタナなど自分で植えた苗はどこにあるかマーキングしてあって

わかるのだけれど、毎年、水仙などが思いがけない場所で咲き始めたりする。

こちらで移植したわけでもないのに、当初なぜ植物が移動するのかわからなかった。

つきあっているうちに鳥や森のどうぶつ達が運んでいることに気がついた。

それからは彼らにまかせてあって、今年も「ここで咲く?」と小さな宝さがしを

喜んでいる。

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ポピーやルピナス、ディルフィニウムなど宿根草が植わっている場所。

 

 

八重咲きやラッパ咲きなど水仙がたくさん咲いてくれたので、ダーチャ内の

東欧フォークロア・コーナーにいけている。この明るい黄色の水仙に、

ナルシストの語源となったナルキッソスの物語(性格に難アリ美少年

ナルキッソスが水面に映る自分に恋をし泉を離れられなくなってそこで

死に水仙になったというギリシャ神話)があるというのが面白い。

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水仙には毒があって「食ベルナ危険植物」だけれども、こうして明るい黄色で

華やかに咲いていると、目でいただくビタミンという感じがする。

 

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花瓶にしているのは、前にハンガリー在住のりかさんにいただいた

ハンガリーはちみつの容器。蜂のエンボス加工が気に入っている。

 

東欧雑貨の仕入れきっかけで知り合った りかさん。こちらからコンタクトをとって

ブダペストで出会ったのは仕事で渡欧するようになった初期のことだ。仕入れで

お世話になるはずが、いつしかスピリチュアルなことを共有し合う仲になった。 

何がきっかけで出会って友達になるかというのは本当にわからない。人生の

シナリオというか、俯瞰してみれば遅かれ早かれ、会うことになっている人とは

出会うようになっているものなんだろうな。

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夜桜

 

偶然にも、新しく親しくなった人もlicaさんという。 こちらのlicaさんは

うちの店には珍しい男子高校生のお客さんだった たくみ君のお母さんだ。

ある時、ひとりでふらり店に来てくれた。きらきらとした華やかな印象の

人でフィーリングがあい話しやすかった。たくみ君のお母さんだとわかった

時は驚いたけれど、今では縁をとりもってくれた彼に感謝している。

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お喋りがはずみ日が暮れた。楽しい夜を優しく外灯が照らしてくれる。

 

すべては泰然と育まれてゆく。