キャベツカッター出番なし。ソープワートはサボン草。

 

ようやく夏らしい気温になった。寝苦しい夜はまだ一度もないけれど「暑いなぁ」

って言って扇風機を使えることが嬉しい。少しでも肌寒くなると「今だ!」と

言わんばかりにダウンを羽織る南国の人のように、少しでも暑さを感じると

ノースリーブやショートパンツと俄然、夏仕様になる北国の人たち。だって、

薄着を楽しめる期間が短いんだもん。そんなわけで私も鮮やかなブルーに

ポルカドットの夏用部屋着をようやく着れて喜んでいる。

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窓辺から見えるダーチャのようす。すっかり緑の世界。

 

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ソビエト時代のキャベツカッター

 

本場・ロシアのダーチャではかつて(現代のダーチャはいわゆるイングリッシュ・

ガーデンを楽しむスタイルが主流だとか)ロシア料理に欠かせないキャベツも

たくさん育てていたそうだ。これはソビエト時代のキャベツカッター。

ロシアの古都・サンクトペテルブルグを訪れた折に見つけたもので

「キャベツ専用カッターってあるんだ」と感心したのを覚えている。ちなみに

うちの紫キャベツは2株とも、人の口に入る前に、見事なまでに虫に食べられ

キャベツカッターの出番なしだった。

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いろんな銅葉レタス、パセリ、ナスタチウムの花

 

食糧危機の近未来がささやかれる中、そんなゆるい事でどうするんだ。霞を

食って生きる仙人にも‘不食’にも到底なれそうにない私は一体、何を食べて

生命をつなげば良いのだろうか。なんて苦悩する暇なく、庭ではレタスや

ナスタチウムがどんどん育つ。油断しているとトマトやピーマンが実りの

ピークを迎える。

自分で育てた野菜を収穫する行為。それ自体が恩寵というか、豊かな気分を

運んでくる。充足感、満足が広がると、不安に耳を傾ける時間が減る。

食事情としては質素かもしれないけれど、この満ち足りる感覚は、禅の

「足ることを知る」に通づると思う。何よりこの行為自体が楽しい。

迷ったら楽しい方を選択して、「楽しい」とか喜びの連続でこの世界を

渡って行こう。そうして過ごす人が増えたらいいななんて、こういうのも

ユートピア思想っていうんだろうか。

 

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ソープワート

 ナデシコ科シャボンソウ属

 Saponaria officinalis

 英名:soapwort

 和名:しゃぼんそう(シャボン草)、サボンソウ

 

ピンク色の、可愛くて芳しい花をつけるソープワート。「シャボン草」とか

「サボンソウ」とも呼ばれる。‘サボン’はフランス語だとずっと思っていた

けれど、ヘブライ語イスラエルの言語)でも「SAVON」(サボン: 

意味も、石けん)と呼ばれていると知り、言葉って伝播(でんぱ)するよ

なぁって思う。この可愛いお花、最初は1株だけだったのが、どんなに辛く

厳しい冬の年も耐え、あれよあれよと増えて‘大株主’になった。当初は珍しさ

と「もったいない病」で抜かずにいたけれど、まるでアップルミントのように

して他の植物を駆逐して勢いよく増える姿はもはや勢力拡大する一方の、

手のつけられない暴れん坊ギャングと一緒。英語圏のサイトで検索をかけても

「とにかく強い」「路傍でもよく増える」の表現が圧倒的に多い。

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と言うわけで。増えた君達が持つ成分‘サポニン’は有難く石けんにするよ。

 

根は毒性が強いというので使わずに、収穫した茎と葉を煮出して石けんとして

活用する事にした。煮出し(煎じ)時間の関係か?泡立ちはいまいちだけど、

緑色の液体になった。

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この緑色が繊維に移ってしまう場合ありと言うことで、キッチンクロスなど色移り

して良いものを洗うことにした。英語サイトでは「アンティークリネンを洗うのに

最適」とか「古いウールの織物を洗う」という表記が多く目につく。石けんや

洗剤が普及する近代まで、サポニンを含むこの植物の洗浄力がどんだけ重宝されて

いたかを伺わせる。

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芳しく可愛らしいパステルピンクの花。

学名‘saponaria’の‘sapo’はラテン語で「石けん」の意味。明治時代には日本に

入っていたそうで、明治ってどんだけ文明開化?!って思う。葉を揉むだけでも

泡立つけれど、わりと肌が強い私の手でも煮出す前の葉には刺激を感じるので、

肌が弱い方は用心しながら少しずつ触ることをおすすめする。