青いトマトの美味しい食べ方
爽やかな秋晴れだなぁなんて空を見上げる横で雪虫が舞う季節になった。
この辺りは冷え込みがきつい。初雪のニュースも聞こえてきたし、そろそろ
冬タイヤへの交換時期を考え始めている。
一見まだ青々として見える庭の植物も、ぎぼうしの花が終わると秋明菊が咲き、
タカノハススキが遅まきながら穂を広げる。紫蘇やアスパラガスは来る年に向けて
種をつけ、一年草も宿根草もちゃぁんと季節に沿って順々にたち枯れていく。
そろそろここも片付けないとと、大きくなったブラックベリーの向こうに
隠れんぼしながら広がる野菜畑を見る。明らかに役目を終えた茄子苗にお礼を
言って土から抜き取る。この苗が大地にとけあい堆肥になって、新しい苗の
栄養になる。循環してるんだなー。
ただひとつ。これだけ寒いと、もう赤くなることはないとわかっているのに
青く実ったミニトマト苗を引き抜く気にはどうしてもなれずにいる。このままじゃ
固いし、でもせっかくここまで実ってるんだし。だから青いトマトを美味しく
食べる方法があると知った時、空也上人よろしく心の中で小躍りした。
トマト
ナス科ナス属
学名:Solanum lycopersicum
英名:Tomato
和名:赤茄子、小金瓜、蕃茄(ばんか)、唐柿(とうし)、
珊瑚樹茄子(さんごじゅなす)
レシピはいたって簡単で、収穫した青いトマトをグリルやオーブンで焼く。
これだけ。
焼きたてトマトに、オリーブオイル、塩、胡椒、タイムやイタリアンパセリで
味付け。春、ロッソナポリタン(赤)やイエローアイコ(黄)など
いろんなトマトを植えたので、種類によっては焼き銀杏のような食感になった。
青いトマトの美味しい食べ方。調理方法がシンプルでワインにもよく合うし、
この方法を知ったおかげで、青いトマトがあったら「季節はずれだなー」
なんて思うどころか「ラッキー」って思うようになった。小さなことだけど
見え方が好転するのってほんと嬉しいよね。
そういえば、トマトの原産は南米・アンデス山脈にあるペルーやエクアドル
といった国々だ。この辺りの民族衣装はカラフルでとても可愛い。つばの広い
帽子に三編み、カラフルなフレアスカートのいでたちを写真集などで見かける
人も多いのではないかなぁ。アンデスへ行ったことはないけれど、よく
LINEする れいこちゃんという友達がペルーで暮らしていたのでちょっぴり
親近感がある。
れいこちゃんとは東京にいた頃、知り合った。ショートカットの小柄で
キュートな女性で、落ち着いた心地よい話し声が印象的だった。英語が堪能で
彼女の話す声を聞いていると自然と穏やかな心持ちになる。声をツールに
人の周波数を調整するボイスヒーリングというのがあるそうだけど、
れいこちゃんのような人はまさに、声で人をカームダウンする存在なんだ
ろうな。
お互いのタイミングで自由にメッセージを送りあうラフな感じ、通じ合っている
感覚。コロナ禍で自粛生活を余儀なくされたこの春も、彼女との楽しいやりとりが
閉塞感を癒やしてくれた。
すっかりマスクすることが定着して、咳エチケットとかソーシャルディスタンス
なんて言葉が普及したおかしな2020年だけれども、今年も秋は深まっていく。