夏至の日のこと、続・ナルシマさん

 

2020年の夏至の日(6月21日)は、日食(アフリカからインド、中国、台湾では

金環日食)と新月が重なる占星術的にも天体的にも珍しい条件の揃う日だった。

(と、ゲイカップル占星術トシ&リティ も言っていましたよと。)

だからかな、夏至の前後 数日間はテンションが上がって上がって、毎日 気心の

知れた友達と会って夜まで話したり、夏至当日は新月で暗く空も曇って濃霧まで

出てきたのに夜ドライブに付き合ってもらったりした。一緒に過ごしてくれた皆

どうも有難う。

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ダーチャの苺。小さな実がなってたまらなく可愛い。

 

朝、夏至の日生まれの友達にお祝いのバースデーメールを送る。夕方、知人から

「念願の環状列石に行ってきました。日食メガネ持っていったけど日食は

見えなかった」というメールが届く。以前、この知人に夏至の朝、とある

環状列石でシューマン共振の音を聴いた話をしたのを覚えていてくれた事が

嬉しかった。

 

今年は夏至の朝にシューマン共振を聴くことはなかったけれど、2020年は

例年よりシューマン共振が大きく響いているそうで、1週間ほど前のちょうど

日の出の頃、眠っていたら耳に振動音のようなものが響いて「あ、これって」

と目を覚まし、体を起こしその音に意識を向けた事があった。環状列石では

意識を向けると共振音が大きくなって、まるでシンギングボウルのように

脳内に音が響いて驚いたけれど、この朝の音は小さいままだった。

 

シューマン共振は、太陽風や雷の放電などの電離層で起こる震動で

シューマン共鳴」とも呼ばれる。なるほど環状列石で聴いた音はまさに

共鳴だったなぁと思う。ふだんはなかなか聞こえないけれど常に観測できる

そうで、昔の人にはもっと頻繁に聴こえていてそれでシンギングボウルの

ような楽器ができたんじゃないかなと空想をする。一度聴くとアンコール

したくなる不思議に魅惑的な音で、はじめて聴いた年の感動さめやらず、

何年か続けて同じ場所へ通ったけれど、二度とあの素晴らしい音を聴くことは

叶わずにいる。

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前日、まるで夏至の前夜祭のように夜遅くまでトーク炸裂したlicaさんがこの日も

ふらっと訪ねてくれて、ふたりで小さな苺をヨーグルトにのせていただいた。

一緒にのせたアップルミントの葉も、その横のアルケミラ・モリスも庭からの

恵み。一年で最も太陽が長く世界を照らす日の、ささやかで寿ぎに満ちた喜び。

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アルケミラ・モリス

 バラ科ハゴロモグサ属

 学名:Alchemilla mollis

 英名:Lady's mantle

 和名:レディースマントル

 

属名「アルケミラ」は Alkemelych(錬金術)という意味のアラビア語にちなむ。

可愛い形をした葉にたまる雫が中世の賢者の石を作るのに用いられたとか、

葉の形が聖母マリア様のマントのようだと表現されたりする。

女性の病気(月経不順、更年期障害、胃腸炎の改善など)に効くことから

西洋では「a woman's best friend」(女性の良き友)という表現もある。

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アルケミラ・モリスの可愛い黄色い花。山みつばの小さな白花やマーガレットと

一緒に玄関に飾る。花器は昔、友達にもらったツェツェの試験管ベース。当時は

この発想、とても斬新だった。

 

 

ところでダーチャには「これがなかったらなぁ」といつも見上げる一本の電柱が

立っている。NTTの電柱で、上には電力会社の電線が張り巡らしてある。この

電柱の線に、樹々の枝葉が触れそうで危うくなっていた。春先、最も危ない枝

だけは頑張って切り落としたのだけれども、チェーンソーは持っていず、木を

まるごと切ることは諦めていた。

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夏至の数日後から、地主さん達が周囲の雑草や樹々の環境整備を始めた。電線に

今にも絡みつきそうなくるみの木のことを話してみたら、皆すぐに「あの電柱の

でしょ」とわかってくれた。そして作業の合間に伐採してくれる事になった。

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チェーンソーの小気味いい音のあと、大木の倒れる様子も圧巻だった。

 

くるみの木と、桑の木と。生えている場所によっては最高の組み合わせなのだ

けれども。桑の木はくるみと樹形が違うのと、蜂よけの手作りトラップ

(ペットボトルにジュースとお酒をブレンドしたもの)をかけるので、

不要な枝のみ切ってもらって残すことにした。この辺りはリスが走りまわるので

くるみの殻がたくさん落ちていてよく芽を出す。そして放っておくとなかなかの

スピードで成長する。

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旧黒岩家住宅側からの長め。木がなくなってとてもすっきりした。

 

地主さん達と旧ナルシマ邸を見ながら話していて、またギンザ洋装店に関する

情報が更新された。洋装店は街中にあり、簾舞からオーナーのナルシマさんが

店まで通っていたと聞いたことがあったのが、やはりそうだったと判明したのだ。

皆さん、洋装店のあった正確な街中の場所も、ナルシマ一族のその後も

知らなかったけれど、これでまたひとつナルシマさんに関する物語が進んだ。

進むとさらに新情報に行き当たるもので。1969年、アポロ月面着陸の年に

宇宙をイメージした『COSMO(コスモ)』という寄合百貨店(百貨店はかつて

こういう言い方をした)が街中に開業した。それまで狸小路商店街や札幌駅前に

あった店がテナントとして入り、その中に「ギンザ洋装店」も名を連ねていた。

 

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ナルシマさんの物語には、今後もひょんなタイミングで続編が届くのだろう。

電線に樹々が干渉する心配がなくなった庭で、大きくなったナスタチウムの花や

バジル、レタスなどのハーブや葉もの野菜を摘み取った。

 

ナスタチウム

 ノウゼンハレン科ノウゼンハレン属

 学名:Tropaeolum majus

 英名:Nasturtium

 和名:キンレンカ金蓮花)、ノウゼンハレン(凌霄葉蓮

 

 

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ナスタチウムは花も葉も食べられる。この日は花をメインにしたサラダ。

 

重なっていてわかりにくいけれど、ナスタチウムの花の下にはバジル、サラダ菜、

銅葉色のレタス3種類が入っている。油断するとどんどん成長してトウが立って

しまうので、この時期は毎日、庭の野菜をせっせと収穫しては炒めたり、生で

食べたり忙しい。でも、こんな忙しさならむしろウェルカムだなぁと思う。