終雪 春になってさいごにふる雪
早朝、寒いなーと思って目が覚めた。窓から外を見て、一瞬、
冬のはじまりに戻ったような不思議な感覚に陥った。
4月も下旬にさしかかるというのにまた雪が降った。
春の雪、朝4時半頃の風景。
冬の終わり、春の始まりにふる雪を 終雪 というそうだ。
種まきしたばかりなのに真っ白になった庭を見て「ホント油断
ならない」と思う。札幌は1941年5月25日に観測された降雪が
最も遅い終雪だそうだ。今朝だってタイムスリップしたかと
思ったんだから、当時の人は天変地異でも起きたかと驚いたんじゃ
ないかなぁ。
タイムスリップといえば、ダーチャ小屋にも古い柱時計や昔の電話と
年代物が点在している。小屋自体が80年ほど経っているのだから
ここで佇んでいると、建物も家具も自分もすべてが粒子になって
空気中を漂っているような感覚になる。
さすがに雪はとけたけれど、日中もずっと雪が降っていた。
夕方、まわったスーパーや薬局には「ソーシャル・ディスタンス」の文字、
手洗いうがい咳エチケットを推奨する放送が流れる。レジまわりには
飛沫よけのビニールがはられスタッフの人たちはビニール手袋をしている。
自分も含め誰もがマスクをして、人との距離に気をつけている。
その光景を見ていたら、これもまたタイムトラベルの一環のような気が
してきた。
今も一見は日常生活を送っているようだけれど、スーパーや薬局は
あいていても同じ敷地内のスターバックスは閉まったままだ。
コロすけ感染拡大抑止の入国拒否に、ロシアや中東の国々も追加される
ことになった。これで入国拒否は80カ国になる。少し前まであんなに
近かった世界がどんどん遠くなっていく。少しずつ、当たり前だった
ことが特別なことへと切り替わっていく。